オンデマンド出版と国際配本の実例
アフガニスタン共和国副大統領だったアブドゥル・ハミド・ムータット氏の回想録『わが政府 かく崩壊せり』は野口壽一が英語版からの翻訳を完成したあと2013年3月にネット公開されました。
そのサイトの原稿をもとに、2018年7月にカナダのトロントにあるバルマキッズ(Barmakids Press)社がKindle版、ペーパーバック版を出版し、同年11月に、より読みやすく組み直した第2版を発刊しました。同書は、ウクライナのキエフでペルシャ語で執筆され、英語に翻訳された原稿をインターネットを介して野口が東京で翻訳し、訳文の最終確認はキエフで行い、ネット出版されました。
今回、この数年間のあいだに開発実現されたネット最新サービスを活用して、今までは考えられなかった出版・流通形態で本書が出版されました。
以下、その実例をご紹介します。
2013年には下記の形で公開されました。
http://www.caravan.net/muhtat/
この原稿は著作権は放棄されていないが無料で誰でも利用できるパブリックドメインとして公開されました。公開後、より読みやすくするために紙媒体の書籍形態での出版が期待されましたが適当な出版社が見つからずネット公開のままになっていました。
昨年、トロントにバルマキッズ社が設立されました。同社は設立直後からアフガニスタンや中央アジアの歴史や文化をテーマとした書籍を精力的に出版しています。
世界中に読者をもつ同社はアマゾンが確立したグローバル流通システムを活用しています。たとえば、同書を購入するためにアマゾン・ジャパンにアクセスするとkindle版のほかに次のようにペーパーバック版の購入ページが表示されます。

Kindle版はデジタルのeBookですから購入したその瞬間に手元に届きます。しかし紙の書籍はそうはいきません。従来であれば事前に何百部、何千部、売れそうな本であれば万の単位で初版を印刷し、東販や日販などの取次に卸し、そこから全国の書店に配本されます。しかしこの方法は初期コストと売上リスクがかかるばかりでなく売れ残りが裁断されて捨てられるという資源の無駄を生んでいました。
amazon.co.jpで10冊頼んでみました。1週間で届きました


もちろんISBNがついています。

ところがこの10冊は、ブックデポジトリーというイギリスに拠点を置くブックデリバリー会社から送られてきました。


驚くべきことに、この10冊の印刷はアメリカです。〝Printed in the USA〟とあります。

しかも値段は、1冊1,779円からです(すべて配送料無料)。(なぜだかニュージーランドからは1.5倍)。それにしてもこの安さ、一体どうなっているんでしょうね。
オンデマンド印刷は注文がきてからプリント・製本するのですが、現在、アマゾンジャパンには常に千葉の倉庫に一定数の在庫が置いてあり、国内はその千葉の発送センターから宅送されます。在庫がある限り即日ないし翌日には配達されます。
『わが政府 かく崩壊せり』はここをクリックすればアマゾンサイトから購入できます。
もちろんKindle版も購入でき(336円)、プレミア会員であれば0円です。
恐るべき時代が到来したものです。
フェニックス・ラボラトリーでは、株式会社キャラバン時代に培ったDTP技術を引き継ぎ、従来では考えられなかった金額で、 あらゆる種類の出版物の製作・配本サービスを行なっています。ぜひ、当社にご用命ください。問い合わせはここをクリック。